2023年3月の星空を撮る
UNDER THE STARRY SKY
- 揖斐谷 -
1984年に発表された THE ALFEE の17枚目のシングルに「星空のディスタンス」がある。THE ALFEE を代表するこの曲の発売当時のジャケットに「星空のディスタンス」という日本語表記の他に「UNDER
THE STARRY SKY」という英語表記があった。星空を見上げるとき、この曲が頭の中を駆け巡る 姿を隠そうとする北斗七星。その柄杓から伸びたうしかい座のアルクトールスへと続く春の大曲線は、今沈もうとしている 街灯の明るさはいかんともしがたいが、星空を仰ぎ見ることができただけで満足するほかはない ---------------------------------------- ISO3200、f2.0、15秒、20mm、マニュアルWB、ケンコー PRO1D プロソフトン クリア(W)、Raw SONY α7M4 + FE 20mm F1.8 G 2023年3月30日03時09分 |
夜明け前の天の川
- 揖斐谷 -
この朝の天文薄明が始まるのは04時17分。もう薄明が始まっている。上弦の月が沈んでから薄明が始まるまでのわずかな時間。この時間帯の空気は澄んでいて車の往来も少ない 夜明け前の気温は低いが、真冬ほどではない。湿度が低いため結露の心配はなさそうだ 明るくなり始めた空に横たわる天の川。空に溶けて消えるまで眺めていた ---------------------------------------- ISO800、f2.0、15秒、14mm、マニュアルWB、LEE SP-31 ソフト №1、Raw SONY α7RM5 + FE 14mm F1.8 GM 2023年3月30日04時22分 |
桜と天の川
- 揖斐谷 -
上弦過ぎの月が沈むと天の川が浮かび上がった。街灯を避けながらあちこちと移動しながら星空を眺める。眩しすぎるほどの街灯が桜を照らすが、幸い天の川は街灯に負けずに横たわっていた 自宅から徒歩5分のこの場所は、35年前には本当に暗い場所だった 今では村の人口は激減し、それに反比例して明るすぎる照明が照らすようになり、闇がなくなった 35年後は生きてはいないだろうが、そのときに星空は残っているだろうか ---------------------------------------- ISO800、f2.0、10秒、14mm、マニュアルWB、LEE SP-31 ソフト №1、Raw SONY α7RM5 + FE 14mm F1.8 GM 2023年3月30日04時09分 |
夏の星空と出会う
- 揖斐谷 -
春の明け方は寒い。この朝は外気温4℃まで下がった 湿度は低くて結露の心配はなさそうだが、春特有の霞がかかっている それでも月没後、薄明前にこれだけの星空が見られるのだから、よしとしよう 左に夏の大三角、わし座のアルタイルの左下には、可愛いいるか座も見える。肉眼でいるか座が見られるかどうかが、夏の星空の透明度をはかるバロメーター。右の山際にはさそり座が顔を赤く輝くアンタレス ---------------------------------------- ISO1000、f2.0、80秒(40秒×2枚)、マニュアルWB、LEE SP-31 ソフト №1、Raw、赤道儀で恒星追尾撮影 SONY α7RM5 + FE 14mm F1.8 GM 2023年3月29日03時02分 |
春の星団 - プレセペ星団(Praesepe M44)-
- 揖斐谷 -
プレセペ星団はかに座の中にあり、四辺形の中心に位置する散開星団 ちょうどかにの甲羅の部分に当たる 月のない、空気の透明度が高い夜にふたご座のカストルとポルックスを見つけ、次いでししの大鎌を探して、その中間辺りに目をこらすと四辺形が見つかる 冬から春に移り変わろうとするこの頃は、まずかに座を探してみる。裸眼でぼんやり見えるようなら、夜空の状態がいい この季節、真っ先に探したくなる星団 (付記) もう10年以上前になるだろうか。東京から来られた「ふぇみんの会」の皆さんを伊吹山登山ガイドとしてフル登山で山頂までガイドしたことがある 登山口のペンションに宿泊された皆さんを、私は麓の三宮神社から登って迎えに行った 参加者の一人、年配の方が「かに座の宝石箱を見ることを楽しみにしてきた」とオペラグラスを片手に話しておられたことを思い出す。そう、M44はかに座の宝石箱に例えられるほどの美しい星の集まり あのとき見つけられたかどうか、尋ねず仕舞いだった あの時の皆さん、お元気だろうか ---------------------------------------- ISO3200、f5.6、560秒(80秒×7枚)、200mm(トリミング)、マニュアルWB、Raw、赤道儀で恒星追尾撮影 SONY α7M4 + FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS 2023年3月19日22時48分 |
濃尾平野に降る星
- 金生山 -
* 「3/18 星空写真教室」 にて撮影 *
3/18星空写真教室は春とは思えない冷たい雨の中だった しかし天気予報は雨のち晴れで宵の頃には快晴の予報 待つと20時ころになって覆っていた雲は少なくなり、やがて快晴となった 春には珍しく空気の透明度が高く、湿度も低い 北寄りの風が強く強く吹きつけ、凍えるほど寒い夜だった 撮影会場は特別に夜間入山許可をいただいた金生山岩巣公園 写真教室受講者のうち夜の撮影実習に参加されたのは2名 講座内容をふまえて、深夜まで粘って撮影された きっと素晴らしい星空が撮れていることと思う それにしても星空撮影は難しいと改めて思う 粘ったからといって思うように撮れるわけではないかもしれないが、粘らなくては始まらないのもまた事実 粘れば撮れるとわかっていればいいのだが、それは誰にもわからないというジレンマがある ボランティアでレクチャーさせていただいた星空写真教室 定員5名の少人数講座のため多くの方のお申し込みをお断りせざるを得なかった 希望された方全員にこの星空を撮影していただけなかったことが、残念だった 次回の星空写真教室は3/25 天候に恵まれるだろうか (追記) ところでこの夜は23時過ぎまで岐阜城が緑色にライトアップされていた。世界緑内障週間に合わせて、ということのようだ ここ金生山からも緑色の岐阜城はよく目立っていた。上の画像では地平線やや左上に緑の岐阜城が見える(3/19) ---------------------------------------- SONY α7RM5 + FE 20mm F1.8 G ISO400、f4.0、3,812秒(4秒×953枚を比較明で合成)、GND(ND8)フィルター使用 2023年3月18日 21時32分 金生山岩巣公園 |
冬の星座を見送る
-揖斐谷-
春は黄砂にくわえて花粉も舞い、晴れていてもどんよりと霞がかかったような空が続くことが多い。しかしこの夜は前夜の霙が塵を落としてくれたようで、春とは思えない透明度の高い星空が広がった 日付が変わる頃には下弦手前の明るい月が出るので、23時頃までには撮影を終えなければならない 西の山際には冬の星座が沈もうとしている。ふたご座のカストルとポルックスは、冬の初めに東から昇るときは兄のカストルを追いかけるようにポルックスが昇る。冬の終わりに西へ沈む時には兄弟仲良く揃って沈んでいく。その様子は見ていて楽しい 山際には沈む冬の天の川。中央の下付近にはいっかくじゅう座のばら星雲も見える カストルとポルックスの左上にはかに座の宝石箱と呼ばれるプレセペ星団。肉眼でプレセペが確認できることは春の夜には珍しい その上にはしし座の1等星レグルスが輝く ISO400、f2.0、80秒、20mm、マニュアルWB、高感度NR off、長秒時NR on、Raw、ケンコーPRO1Dプロソフトン[A](W)、赤道儀で恒星追尾撮影 SONY α7RM5 + FE 20mm F1.8 G ケーブルレリーズではなく、α7RM5のBulbタイマー機能を使用している 2023年3月14日22時17分 |
下弦手前の月が出ようとしているのであまりのんびりはしてしられない。が、気になっている点について補足のテストを行った 最初に掲げた画像は、ISO感度400、120秒露光の1枚撮り。ダーク減算はカメラ本体で行っている Rawで撮影し、高感度NRはoff、長秒時NRのみon 横たわる冬の天の川を見て欲しい。高感度NRをoffとしているため微光星がスポイルされる様子もなく良質な星野写真である。だが、Raw段階での高感度NRをoffとしているため画像がややざわついていることが気になる そこで次に掲げた画像を見て欲しい、こちらも高感度NRはoffのままだがISO感度を800まで上げて4枚連続撮影している。もちろん長秒時NRはoff。最初に掲げた画像がややざわつきが感じられたのに対して、次に掲げた画像は4枚のダークフレームを使ってダーク減算後に加算平均処理しているため高感度ノイズが低減されていることがわかる。もちろん微光星がスポイルされることもない 時間に追われる中でのテストだったが、現段階での私の結論は次のようである α7RM5を赤道儀にセットして恒星追尾撮影する場合は、Rawの高感度NRはoff、長秒時NRもoff、ダーク減算のためのダークフレームを4枚程度取得しておき、後処理として加算平均コンポジット処理を行い高感度ノイズの低減を図る。本当はライトフレームは8枚ぐらい欲しいが、地上の風景が入っている場合は、地上の景色が流れるためあまり長時間にならないようにしたい。今回は加算平均としたが、32bit処理しているため加算平均コンポジットであっても加算コンポジットであっても、データの飽和は起きないのでどちらで処理しても同じ結果となる 今回はここまで(3/15) ISO800、f2.0、160秒(40秒×4枚)、20mm、マニュアルWB、高感度NR off、長秒時NR off、Raw、ケンコーPRO1Dプロソフトン[A](W)、赤道儀で恒星追尾撮影、ダーク減算後に加算平均処理 SONY α7RM5 + FE 20mm F1.8 G こちらもケーブルレリーズではなくα7RM5のBulbタイマー機能を使用して露光している 2023年3月14日22時06分 |
宵の明星と木星が大接近
-岐阜市-
雨が上がった後は急速に天候が回復したものの、冬型の天気に変わり西の山際は冬の雲に覆われた そんな中、夕暮れが近づく西の空に2つの明るい惑星がひときわ明るく輝いた ほとんど満ちている金星は-4等級、木星も-2等級と、とても明るい。2つの惑星が寄り添って輝く様子は美しい この時の2惑星の離角は約30分角。これはちょうど月1個分に相当する さらに高度が下がるのを待っていると、湧き上がる雲が2つの惑星を隠した まあ撮れただけで満足するしかないと自分を納得させる 写真はギャラリー在廊後に、岐阜シティ・タワー42の展望室まで上がって撮影したもの いつものことながら他に観望・撮影者はいなかった 今年は金星が関係する天文イベントがいくつも控えている 3月18日の星空写真教室で詳しく紹介するつもり 20mm、ISO1600、f2、1/100秒、手持ちの1枚撮り SONY α7RM5 + FE 20mm F1.8 G 2023年3月2日18時30分 岐阜市 |